Yoko Uryuhara's Social Marketing lab.
瓜生原葉子研究室
Social Marketing
ソーシャルマーケティングに関する体系的な教育コースを、2022年度から開始いたしました。
対象は、政策立案者、企業や非営利組織でSDGsの達成、社会課題の解決へのアプローチを学びたいと考えている方です。
国際ソーシャルマーケティング協会の指針に基づき、国際標準の教育を提供しております。
メニューは以下のとおりです。お問合せは、トップページの問合せ欄から、お願い申し上げます。
【オンライン・対面による講義】
■入門コース(2時間)
■初級コース(21時間+α)
■中級コース(20時間+α)
※国際標準にしたがった研修プログラムです。詳細は、「新型コロナウイルス感染症対策と市民参画・行動変容に関するガイダンス文書」P.77-79をご参照ください。
【個別コンサルティング】
ご希望に沿います!
【社会実装】
■市民の態度・行動変容に関する社会実装についての助言、立案支援
■実践もお引き受けしております!
ソーシャルマーケティングとは?の理解にお役立ていただけるwebsiteを公開しております。
内容については、国際ソーシャルマーケティング協会、日本拠点のソーシャルマーケティング研究センターが監修しています。
「ソーシャルマーケティングに関する公式ウェブサイト」をご参照ください!
【書籍】
ソーシャルマーケティングについて、また、ソーシャルマーケティングで重要な学際的な17の行動科学理論について詳細に解説をしています。ソーシャルマーケティングを学ぶバイブルとしてお手元においてください。本書は、日本NPO学会賞・優秀賞(2023年)を受賞し、「緻密で体系的な研究、かつ実践的で社会の役にたつ」と評価されました。
【感染症対策行動,ワクチン接種行動】
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日経・FT感染症会議から発出された「東京感染症ステートメント2022」の緊急提言の一つ「市民参画」に,『ソーシャルマーケティングの専門家を育成する』こと,『ソーシャルマーケティングの活用に向けた実践的ガイドラインを策定する』ことが盛り込まれました。
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それを受け、「新型コロナウイルス感染症対策と市民参画・行動変容に関するガイダンス文書」発出。
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【医療のエコ行動】
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医療資源にやさしい行動を促す新しいコンセプトです。瓜生原葉子研究室の学生とともに社会実装研究(栄養バランスのとれた朝食摂取,shared decision making,定期的な運動,口腔ケアなど)を実施しています。
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ウェブサイト: medieco.net
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メディア掲載:朝食プロジェクトについて同志社大学通信『One Purpose』Vol.208に掲載
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【環境保全行動】
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同志社大学SDGsプロジェクトに採択され,市民向け教育プログラムを開発しています。
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小学生を対象とした森林保全に関する教育プログラムの開発については、「東洋経済ACADEMIC SDGsに取り組む大学特集 Vol.5」に掲載されました。
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ハフポストに研究開発の過程や社会実装が詳細に掲載されました
ソーシャルマーケティングとは?
【世界的合意を得た定義】
マーケティングの概念と様々な手法を結びつけることにより、「ソーシャルグッド」の実現に向け、個人やコミュニティー全体としての行動の変容を促すことを目指すもの。
ソーシャルマーケティングの実践は,倫理要綱の遵守を基本とします。その上で,調査を実施し,最も適切な方法を選び,学説・理論に基づいて,対象者・協力者のインサイトを 組み合わせることで,目指す行動と競合する行動を意識し,対象グループに合った,効果的,効率的,公平で持続可能な「より良い社会をつくるための取り組み」を提供することを目指しています。
“Social Marketing seeks to develop and integrate marketing concepts with other approaches to influence behaviour that benefit individuals and communities for the greater social good.
Social Marketing practice is guided by ethical principles. It seeks to integrate research, best practice, theory, audience and partnership insight, to inform the delivery of competition sensitive and segmented social change programmes that are effective, efficient, equitable and sustainable.”
(瓜生原葉子『行動科学でより良い社会をつくる』p.24-27)
「ソーシャルマーケティングの原則・概念・手法」階層モデル(グローバルコンセンサス)
詳細は、こちらでご確認ください。
■原則
「個人と社会全体のソーシャルグッドの促進(The facilitation of personal and social good)」です。
ソーシャルマーケティングは、個人やコミュニティ、そして社会全体にとっての社会的価値(social value)を創造することで、ソーシャルグッドを生み出すことに焦点を当てています。
社会的価値とは、理想的には、コミュニティの対話や理解、市民組織を通じて、集合的に合意されるものです。例えば、「社会的価値を創造するために、すべての赤ちゃんに予防接種を受けさせたい」、「誰もが安全に車を運転できるようにしたい」というようなことが考えられる。このような集団的な行動は、個人だけでなく、コミュニティにも社会的価値をもたらします。
ソーシャルマーケティングは、ソーシャルグッドを定義し、それを実現するためのプログラムを開発することに重点を置いています。世界中の様々な政府やその国民が、どのような行動や信念が社会的に価値があり、それをどのように実現したり維持したりすべきかを合意するために、多様なアプローチを用いています。
ソーシャルマーケティングは、この目的を支援するための体系的なプロセスであり、文化的に適切で倫理的に受け入れられる介入方法を開発し、社会に支持される方法です。
■概念
ソーシャルマーケティングの原則に沿って立案・実践を行う際に不可欠な要素は、以下に示す「6つの中核的概念(6 core concepts)」です。ソーシャルマーケティングに基づくプログラムであるか否かを特定・説明する要素と位置付けられている。
①明確な社会的目標を設定する(Setting of explicit social goals)
②市民の耳に声を傾け参画させる(Citizen orientation and focus)
③マーケティングミックスによって市民への価値を提供する(Value propositions delivery via the Social Marketing
④理論,インサイト,データとエビデンスに基づき対象者を細分化する(Theory, insight, data and evidence informed audience)
⑤目的とする行動の競合・障壁を分析する(Competition, barrier and asset analysis)
⑥本質的な課題解決につながるかについて多角的・論理的に思考され,文化的に受容され,倫理的なプログラムを実践する(Critical thinking, reflexivity and ethical practice)
■手法
ソーシャルマーケティングでは、介入プログラムを開発,提供,評価するために,学際的な理論,研究方法,プロモーションの実践法が状況に応じて用いられることが特徴です。すなわち、基になる個別の手法そのものは、既に多分野(例えばコマーシャルマーケティング)で活用されており、それらをいかに状況に合わせて選定しながら体系的に用いるかが重要です。
また、ソーシャルマーケティングは、複数の専門家による、分野を超えた研究と実践の分野です。効果的に計画されたソーシャルマーケティング・プログラムは、変化する状況、予期しない出来事や機会に機敏に適応し、幅広いアプローチを適用しているという特徴があります。そのため、学際的、かつ継続的に追跡調査、評価を行い、それに基づいた適応的なアプローチを行うという良循環を生み出すことが望まれます。
※手法の詳細は、『行動科学でより良い社会をつくる』P.43-63